農楽とは、呼んで字のごとく農民の音楽、農村の音楽です。
農楽は農村で農穣を祈願する祭りや、豊作を祝う祭り、さらには、辛い農作業の息抜きとして演奏されてきております。
しかし、農楽という名称は、日本の植民地時代に日本帝国が国楽と区別するためにつけたもので、それまではメグやプンジャンなど、各地方によって名称が違っていました。最近になって韓国では農楽と呼ばずに、プンムル(風物)という言い方をする方が増えていますが、それは、植民地時代の名称を嫌ってのことです。
農楽の発祥は、定かではありません。有力な説としては、戦争中の戦士の士気を鼓舞するために、戦場で演奏したところから発展したという戦争説。
また、李朝時代、儒教を国教と定めたことから迫害を受けた仏教の僧たちが、布教活動を行うため、山から降りて演奏したという仏教説の2種類あります。
どちらも定かではありませんが、仏教で使う4種類の楽器をサムル(四物)と呼ぶところから、仏教説のほうがやや有力のようなきがします。
農楽は各地方の個性がカラッ(リズム)に反映されています。例えば韓国では慶尚道の男性は男らしいといわれていますが、そこに伝わる農楽は、力強いリズムを奏でます。また、全羅道の左道農楽は、山間部の地形が多いことから、同じリズムを続けて叩きながら山を越すという特徴があり、反対に平野部が多い右道農楽は、様々なマスゲームをスピード感たっぷりに次々と繰り広げます。
また、韓国には数え切れないほどの農楽が各地方に存在してますが、一般的に京畿道、江原道、忠清道の農楽をウッタリ農楽(中部農楽)、慶尚道の嶺南(ヨンナム)農楽、全羅道のアレッタリ農楽と、3種類に大別することが多いです。